コンパスクラブ 1月コラム掲載| 商品・サービスが提供する価値について

小野寺です。

新年あけましておめでとうございます。

コンパスクラブ 商工会100万会員ネットワーク「あきない知っ得情報」1月コラムを担当させていただきました。

http://compass.shokokai.or.jp/pickup/yakudachi/shisaku/column1801.html

※上記サイトは令和2年3月31日をもって閉鎖となりました。当時のコラム寄稿原文をそのまま掲載しております点、予めご理解ください。

 

「商品・サービスが提供する価値について」

前回のコラム「ターゲット設定について」では、ターゲットの絞込みの重要性と、自社の提供する商品・サービスの長期的なファンになってくれる理想の顧客像をイメージする「ペルソナ分析(ペルソナマーケティング)」によって理想の顧客像(以下、ペルソナ)を描き、ペルソナを基準に商品・サービスの開発を進めていくこと。
そして、ペルソナを設定することによって、ターゲット顧客像の共有化ができること。また、機能やデザインなどの判断を、経営者や担当者の趣味、嗜好、好き嫌いの物差しではなく、ペルソナの趣味、嗜好を基準に考えることにより、ターゲットに向けた商品・サービスの開発を進めることができることをご説明させていただきました。

今回はペルソナ分析(ペルソナマーケティング)をさらに踏み込んでいくために、商品・サービスが提供する価値について、深掘り、解説をさせていただきます。価値という言葉は、商品開発の場において頻繁に使われますが、その意味を曖昧のままにされていることが少なくありません。価値という言葉の意味について理解を深めることにより、自社が開発・提供する商品・サービスとターゲットとの間にどのような関係性を考えたらよいかが分かりやすくなります。

 

1.価値の種類
商品開発やマーケティングにおいて、商品・サービスから提供する価値は、機能的価値と情緒的価値の2種類に分けられます。

【機能的価値】
・商品・サービスの仕様(機能や性能)から提供する価値
・原材料、加工方法、サービスメニューなどから提供される価値

【情緒的価値】
・その製品・サービスから受ける印象に対する価値
・商品そのもののデザイン、パッケージデザイン、ネーミング、販売促進活動、宣伝活動に用いるキャッチコピーなども含まれる

 

2.メリットとベネフィット
メリットとベネフィットには様々な意味がありますが、商品開発・マーケティングにおいて、この場では以下のように定義させていただきます。

【メリット】
・商品・サービスの特徴から得られる利益や便益
・不特定多数の誰でも共通に受け取れるもの

【ベネフィット】
・その商品・サービスを通して(使う・経験する)得られるポジティブ、プラスの感情
・自分ごととして関心が高まること

 

3.2つの価値とメリット・ベネフィットの関係性
機能的価値・情緒的価値の2つの価値とメリット・ベネフィットを商品・サービスとターゲット顧客との関係性を図にすると以下のようになります。

 

<【機能的価値・情緒的価値】と【メリット・ベネフィット】の関係性>

上記の図からわかるように、機能的価値と情緒的価値は商品・サービスが提供するもので、メリットとベネフィットはターゲット顧客が感じるものです。そして、機能的価値とメリットは、提供する商品・サービスが起点となります。それに対して、情緒的価値とベネフィットはターゲット顧客が起点となります。また、ここがポイントとなりますが、情緒的価値とベネフィットはターゲット顧客が定まらないと想定することが出来ません。

 

4.ペルソナ分析から考える
12月号コラムでも説明していますが、多くの商品・サービスやまた、それらの情報が溢れているなかで、いかにターゲット顧客に「自分ごと」と思ってもらえるかがポイントとなります。12月コラムに掲載されているペルソナを用いて、価値の考え方、捉え方の参考例を2点ほど挙げてみます。

 

<理想の顧客像(ペルソナ)からみた価値の参考例>

※ターゲット顧客像(ペルソナ)の詳細は、12月号コラムを参照ください。

 

設定したターゲット顧客像の本音に寄り添い、自社の商品・サービスをこの4つの枠組みで分け、そして、商品・サービス側(図の左側)からアプローチすることと、理想の顧客像側(図の右側)からアプローチすることによって、商品・サービスの価値を多面的に捉え、浮かび上げることができます。漠然としていたものがターゲット顧客にとって必要性や欲求のある価値として抽出することができます。

 

5.なぜ、価値を考えることが必要なのでしょうか?
現在の日本は衣食住のどれをとっても生活に必要な商品・サービスは、機能的にも十分なものを誰しもが購買できる時代になっています。そして、企業にとっては競合他社が多く、顧客視点から考えれば選択の幅がとても広くなっています。
このようななか、競合他社商品から顧客に「これが私にピッタリ」と思ってもらえるようにするためには、顧客の感情にメッセージを伝えていかなければ選んでもらうことが出来ません。すなわち、顧客のベネフィットを伝えることがとても重要視されています。

 

6.まとめ
いかがでしたでしょうか? 今回は価値について深掘り、解説させていただきました。商品開発の場だけでなく、既に販売している商品・サービスについても、ターゲット顧客像を見直し、価値を再編することで新たなポジションをつくることもできます。
今一度、自社の商品・サービスがもたらす「理想の顧客にとっての価値」を見つめ直していただき、商品開発、販売促進に役立てていただきたいと思います。

 

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