コンパスクラブ 7月コラム掲載|論理的な思考について、考える

コンパスクラブ 商工会100万会員ネットワーク「あきない知っ得情報」7月コラムを担当させていただきました。

http://compass.shokokai.or.jp/pickup/yakudachi/shisaku/column1707.html

※上記サイトは令和2年3月31日をもって閉鎖となりましたため、本コラム寄稿を掲載させていただいております。

 

「論理的な思考について、考える」

前回のコラムでは「問題と課題の違い、課題解決策と具体策について」事例を用いながら説明させていただきました。いかがでしたでしょうか?
企業経営は、目的・目標の達成のために常に問題、課題と向き合うことの繰り返しといっても過言ではないでしょう。課題解決策を導き出す能力は、経営者の重要なスキルのひとつとも言えます。

今回は、問題・課題を抽出し解決策・具体策を導き出す、論理的思考についてご紹介させていただきます。

 

1.論理的思考とは
論理的思考とは、明確な定義はないのですが、理路整然として首尾一貫している考え方や説明の仕方のことを指します。(ロジカルシンキングとも言われています。)

具体的には、頭の中で散乱している考えを構造化、順序立てて考えることによって、矛盾・重複・飛躍がない筋の通った結論を導きだすことです。また、考え方の基本概念であるISSUE(イシュー:問題の本質)を押さえることや、MECE(ミッシー:漏れなくダブリなくの意)といったことを意識しながら、考え方を構造化したフレームワークを用いたりしながら考えを整理する思考方法です。

 

2.論理的思考のキーワード
論理的思考のキーワードとその言葉の意味を以下に説明します。

(1)ISSUE(イシュー)
英語で問題の意はプロブレム(Problem)とイシュー(ISSUE)の2つがあります。プロブレムは表にみえる害、直接的な害であり、イシューとは問題の核心や急所を指します。
例えば、ある商品について納期遅延が発生するといった場合、直近の納品遅れに対処する問題はプロブレムであり、そもそも、そういった事態が再発しないように工程、人員や設備などの生産体制の改善について考えることがイシューとなります。

(2)MECE(ミッシー)

ある事柄や概念を、重なりなく、しかも全体として漏れのない部分の集まりで捉えること。
Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive
(相互に重なりなく)  (漏れがない)
<出典:照屋華子・岡田恵子著、「ロジカル・シンキング 論理的な思考と構成のスキル」、東洋経済新聞社、2001年 58ページ>

MECEは、問題解決に限らず考えるための基本中の基本とされています。例えば、初めての展示会での準備リストを作るとします。これに漏れがあると、当日重要なパンフレットがなくて商談が出来なかった。また、重複があると予算が限られているのに余分な発注をしてしまうことなどにもなりかねません。
無駄が発生するだけでなく情報が整理されないまま放置されてしまいます。とてもシンプルな概念ですが適切に意識することで効率的で分析精度が向上します。

(3)フレームワーク
フレームワークとは思考の枠組みのことで、ビジネスの先人たちが作り上げた思考ツールです。どのフレームワークも概ねMECEの概念に沿って、課題に対して問題を整理し改善策を得るための手順を様々な手法でアプローチしています。
皆さんがお馴染みの5W1H<Who(誰が)、What(何を)、When(いつ)、Where(どこで)、Why(どうして)、How(どのように)> もフレームワークのひとつです。上手く活用することで効率的に仕事に応用することができます。以下にその代表的なものの一部ご紹介します。

・ロジックツリー
論理展開を1つの要素から枝分かれしながら構成要素を階層に並べて考えるフレームワーク

 

・3C分析
マーケティング戦略に使うフレームワーク。経営環境を顧客(Customer)・競合(Competitor)・自社(Company)の3つの視点から成功要因(成功の鍵)を見つけ出す。

 

・SWOT分析
自社の強み(Strength)・自社の弱み(Weakness)・機会(Opportunity)・脅威(Threat)の4つの要因を軸に自社の評価や戦略を練るツール。

3.論理的思考から得られるもの
「問題はいろいろあるが、どのように取組んだらよいかわからない」、「解決のアプローチの仕方がわからない」、「あなたの話はわかりにくいと言われる」などの経験はありませんか?

ご説明したように論理的思考を用いることで、一貫して筋の通った考え方ができます。その結果、問題・課題に対して、勘と経験だけに頼らない、効率的で適切な解決策を早く導き出すことができます。そして、具体的な言葉で表現できるようになり、行動や指示も具体的になります。
また、取引先や金融機関をはじめとした対外的な方々へのプレゼンテーションや商談機会などはもちろんのこと、社内の従業員に対しての説明や指示など、コミュニケーション能力も向上するでしょう。

世の中の変化のスピードが早いこの時代に、経営を加速させるためにも論理的思考を意識して用いてみてはいかがでしょうか?

 

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